賃貸不動産を通じて「住まう」に寄り添うための様々な情報を発信するメディア『YORISOU』が、全国の賃貸不動産会社の皆様に賃貸不動産の面白さや、地域への想いをお聞きする企画「Member Episode」。
今回は徳島県徳島市に店舗を構え、地域に寄り添って住まいに寄り添う、カエルームの眞鍋様に創業のきっかけやSNSの活用方法についてお聞きしました。
業界未経験から不動産業をスタート
―まず事業内容を教えていただけますか。
平成26年7月から徳島市でファミリー・カップル向け専門の不動産会社を始めました。
ファミリー・カップル向け専門に特化したのはマーケティング手法の1つです。特化しないと大手に太刀打ちできないのとファミリー向けの物件が多いのもあります。あと、私自身が子育てしていたので、接客もやりやすいし、お客様のニーズも捉えやすいと思ったのもあります。
現在は管理受託の物件が増えて、1K、1Rを所有しているオーナー様も多いので、シングル向けも取り扱うようになりました。
―ホームページに店舗内のお写真を掲載されていましたが、とってもかわいいですね!お人形やレゴブロックを置いていましたね。
そうですね。キッズスペースを作って、子どもが小さいときに買っていたおもちゃを置いています。ストックもたくさんあるので、お子さんがぐずったときには「持って帰っていいよ」とプレゼントしています。
イベントごとにキャンペーンをしていてお店の装飾にもこだわっています。
―お客様に寄りそっていますね。管理物件はどのくらいありますか?
320戸管理しています。事業用の管理もしています。
―かなり多いですね!入居者様からの問い合わせも多いかと思いますが、クレームを減らすコツはありますか?
LステップというラインのAPIを導入しています。入居者様とはすべてラインでやり取りしていて、そうするとレスポンスが早いです。ほぼLINEなので電話を待つということがないです。管理物件が増えていくタイミングでそういう技術が出てきたので、使えるものを駆使しています。
ブログを見てきてくれるお客様が多数
―管理委託をお願いされるのは仲介した物件のオーナーさんと長い付き合いができてから、お願いされることが多いとお聞きしますが、眞鍋様はどのように管理物件を増やされたのでしょうか?
主に2つありまして、一つは元々不動産雑誌の編集の仕事をしていたので、不動産業者さんとのお付き合いがたくさんあって、売買の取引をした業者さんから管理を委託いただいています。それともう一つはもうブログ経由です。地域情報を発信しているので、私の人柄がブログを通してわかるので、「こういう感じの方だったら、一度話がしてみたい」ということで来てくださるオーナーさんがほとんどです。オーナー様にアポイント取って「管理をやらせてください」と営業したことはなく、ほとんどブログ流入や業者さん紹介です。
―管理物件を増やしていく営業が大変とお聞きしますが、眞鍋様はブログを書くことが一種のオーナー営業になっているんですね。
―ブログもいくつかテーマを分けてされていますが、「徳島宅建ヒーローズ」を始められたきっかけを教えてください。
宅建協会の会員ではあるけれど、協会が何をやっているか全然知りませんでした。そんな中、現在の徳島県宅建協会の小西会長よりお誘いがあり、支部の役員になることになりました。実際役員になると、「こんなにたくさんの活動があるんだ」と驚きでした。会員も知らなければエンドユーザーなんてもっと知らない。見ることも触れることもない。身近になってもらうために届けていきたいと思い始めたのがきっかけです。
活動を広く知ってもらえるのは宅建協会にとってもプラスですし、私自身も支部の役員として活動していることは、信頼感に繋がり、お客様の来店のきっかけにもなります。
せっかくやるなら楽しまないと、記事にしないともったいないと思っています。今では協会活動の参加の目的は記事の取材だと思うくらいに楽しくなってきています。管理物件の入居者様も読んでくれています。
退去立会の時に「実は読んでいました」と言われることもとても多いです。
―眞鍋様にお会いする前にブログ読んでいて、おもしろいし、人柄の良さがとても伝わってきました。何もよくわからない会社にお願いするより、ブログで人となりがわかる眞鍋様にお願いしたいっていうお客様が多いのはとてもわかります。
お客様の評価も昔はお金が安いところがいいというのが基準だったと思います。今は多分お金を評価するより、共感を得られるとか、「人」で選ぶ方が多くなってきていると思います。共感が一番今大事な時代になってきています。そこを発信できるのがブログ、XやFacebook。そういうものは人の共感を得られやすいツールになっているので、重要だと思います。
―ブログだけでなく、TikTok、Instagram、X、Facebookとたくさん運用されていますが、SNSを利用するコツなどがあれば教えてください。
例えばブログだとタイトルが大切ですね。1クリックしてもらうため、言葉尻もアイキャッチも中身を読みたいな思ってもらえる事が大事です。
徳島宅建ヒーローズもタイトルがおもしろおかしい記事の方がPVはいいです。
SNSは反響に繋がります。地域情報を上げることによってファンがつきます。なかでもメディアが取り上げないような小さいネタがおすすめです。例えば「あそこでこんなお祭りやっています」「備蓄米があのお米屋さんの自販機に売っています」など。そういう地域ネタは結構いいねがつきます。この地域情報を見てくれているファンが見込み客です。不動産業はその地域に根付いて事業を展開していくので、人とのつながりを大切にしていくのが一番だと思います。すぐにどうこうということはないですが、いつか仕事に繋がります。
ひたむきに続けること。ブログをお勧めしてもなかなか続けられる人はいないです。すぐに効果は出ませんが、楽しんで続けることが大切です。
―なるほど。そういうSNSの運用についてはどうやって学ばれたんですか?
以前テレビ関係の学校に通っていてその頃からメディアやマーケティング手法については興味があって、本を読んで独学で学んでいました。
―将来のビジョンを教えてください。
情報発信がかなり変わってきています。生成aiについてはものすごく進化しています。例えば売買契約の特約文書の整理をさせると、すごくいい修正の必要がない文章が出てきます。少ないリソースの中、そういったaiを使って業務軽減して、その結果利益をどのくらい残せるかが今後の課題になると思います。
賃貸管理についても国土交通省の原状回復ガイドラインを学習させて、その質問を投げかけたら答えてくれるチャットボットを作りたいなと思っています。
大手はいくらでもリソースがあるけど、中小はそんなにないですよね。いかに人間がやらなきゃいけないものをaiに振って減らせるかという点はかなり大事ですし、使い倒さないともったいないです。
―不動産会社がSNSを運用していくコツが伺えて大変勉強になりました。
本日は素敵なお話をありがとうございました。